銀魂に見る大ヒットする作品の条件 ~ 【評論 | 感想】

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銀魂というアニメにはまってしまったので、このアニメに見る「受ける作品の秘密」を解読していきたいと思います。

全部のせラーメンみたいな魅力

これほど色んな意味で「全世代向き」なアニメも意外に珍しいのではないでしょうか。単純に少年ギャグ漫画としても非常に面白いですし、大人が見て笑えるネタもすごくたくさん入っています。

PTAがなんぼのもんじゃ、放送コードがなんぼのもんじゃというノリで、小学生男子が大好きな「うん○」とか「ちん○」みたいな話も入っていますし、大人が楽しめる漫画・アニメ・芸能・時事ネタのギャグもあちこちに入っています。

アニメやバラエティの教養が必要か?

古いところから言うと「ガンダム」「宇宙戦艦ヤマト」からはじまって、「北斗の拳」「ラピュタやナウシカ」「ルパン三世カリオストロの城」「ドラゴンボール」「エヴァ」などなど、ありとあらゆるマンガ・アニメのネタが引用されてパロディーになっていることもあります。

「笑っていいとも」「志村けん」「ドリフ」「碧いうさぎ」などなどお笑いやバラエティーや芸能人のネタが引用されていることもちょこちょこあります。

「モンハン」や「ドラゴンクエスト」など、ゲームネタも色々ありました。ここまでたくさんあると、笑い所が多すぎて困るくらいです。

三千世界の烏を殺して、主と朝寝がしてみたい

ハイコンテキストな例も出すと、「吉原炎上篇」などは、「吉原炎上」という往年の名映画を見たことがあるなど、吉原の知識があればより楽しめます。

ただ、別に吉原の知識が全くなくても楽しめます。

それでいて、会話のはしばしに、

「しゃくくらいしてこい(しゃく=尺八=フェラチオ)って言われたから」
「そのしゃくじゃねえ!(お酒のお酌だよ、ぼけ)」

的な吉原という悪所ならではの、時代劇風な下ネタがさらっと入っていたりもします。

「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」(史実の高杉晋作が遊女に言った名言と言われる)も、ちゃんと銀さんがパロって「三千世界の烏をブチ殺して朝までお供しますってば!」と入ってます。

もとの高杉の名言の意味しているのは、「朝方の別れる少し前のカップル(この場合は遊女と客)が、このままずっといちゃついていたいと甘えている」といったところです。

ちなみに、三千世界=この世界全てみたいな意味、カラス=朝になると鳴くことからこの場合は朝の象徴、主(ぬし)=YOU(あなた)の意味、です。なので、もとの名言を現代語に翻訳するなら、「世界中の目覚まし時計を壊して、時間をとめてしまいたい。そうしたら、このまま君とベッドでずっと一緒に溶け合ったままでいられるのに」みたいなテイストになるでしょう。

こんな感じで、知っていれば二重に笑えるけど、知らなくてもノリとテンポだけで笑える。
この幅の広さが、銀魂の非常に深い魅力があるところだと思います。

古今東西のパロディが多いが、ネタを知らなくても笑える

ある意味で、人気ブロガーの雑記ブログみたいなノリが、あるいは博覧強記な作家の小説みたいなノリがそこにあるわけです。かなりの世代の人達の「あ。これ、あれのネタだよね」と分かるネタがふんだんに詰め込んであるわけです。

色んなネタの引用が多いアニメ・マンガは、ともすると「ネタを知らないと笑えない、つまらない」ということになるリスクがあります。

「坊やだからさ」とシャー少佐のコスプレでいわれても、ガンダム見てない人には分からないですし、「地球か何もかも懐かしい」と沖田艦長のコスプレでいわれても、ヤマトを見ていない人には分からないからです。


ところが、銀魂の場合は「基本がギャグ漫画」なので、テンボのよい掛け合いを見ているだけでけっこう笑えるのが魅力でもあるわけです。「よくわからないけど、面白そうなことやってる」という風に見えるからです。

独自の世界観

江戸風な時代劇とSFという独自性の高い設定から、ありそうで他にない雰囲気がでています。着物風ミニスカートな花魁とか、スーツにちょんまげのニュース司会者とか。忍者がピザ配達のアルバイトしてたりとか。

着物&ミニスカートとか、ちょんまげでスーツとか、一つ一つは他の作品にもあるファッションですが、全部あわさると意外と他にない感じになっています。

1つ1つのパーツはありがちでも、組み合わさると「独特の雰囲気になる」といういい例かもしれません。

髪型はちょんまげ派と洋髪派と半々くらいでしょうか。このカオスな感じもいい感じに独自の雰囲気を醸し出していると思います。

ネーミングは幕末ネタが多い

たとえば、真選組の近藤 勲(実写映画版では中村勘九郎が裸族で熱演)は、幕末の新撰組の近藤勇です。真選組の上司である松平片栗虎(まつだいら かたくりこ)は、史実で京都守護職をつとめていた会津の松平 容保(まつだいら かたもり)からでしょう。

ただ、このパロディーなネーミングのせいで「歴史の授業で、漢字を間違える中学生が続出か?」というおもしろい噂もありますが。

あとは、マニアックな深読みだと、夜兎(やと)は、もしかしたら日本の神話の夜刀神(やとのかみ)からネーミングのヒントを得ているのかもしれません。

歴史ネタではなくギャグ漫画らしいネーミングとしては「結野アナ」「花野アナ」があります。もちろん音読すると小学生男子が好きそうなネタになるのですが、音で聞くと意外にわからないもので、10回くらい見るまで全く気が付きませんでした。

結野アナの陰陽師篇のところの、結野晴明と、巳厘野道満のネーミングもとは、平安の陰陽師として最も有名な安倍晴明とライバルの蘆屋道満でしょう。結野クリステルのネーミングもとは滝川クリステルと思われます。

ちなみに銀さん(坂田銀時)のネーミングのもとは平安期の伝説の武将「坂田金時」(金太郎のモデルと言われる)です。こちらはもとの設定とは完全に関係ない感じになってます。

銀魂の魅力まとめ

知らないと分からない懐かしのネタもてんこもりな一方で、魅力的なキャラクター達によるギャグマンガとしてのノリツッコミが単純に楽しい。ハイコイテキストな魅力とローコンテキストな魅力の両立、このみんなが楽しめる雰囲気と、独自の世界観があわさって、銀魂の魅力が構成されてくるのではないでしょう。

一つ一つの要素がというだけでなく、小さな要素がたくさん積み重なって「(全体的に)雰囲気が楽しい」という大きな結果につながっているのではないかと思います。

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