銀河英雄伝説 【書評】

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宇宙時代の三国志的な大河物語です。アメリカや日本をSF化したかのような自由惑星同盟とドイツ帝国がSF化したかのような銀河帝国との永遠に続くかに思える戦争の中、二人の英雄が登場します。常勝のラインハルト対不敗のヤン・ウェンリー、二人の対決はいかに、という雰囲気で進行します。SFというより十八史略のような歴史小説に近いですが、ガンダムやヤマトや三国志が好きな人、歴史に興味がある人にはかなり面白いと思います。

この作品ですが、マンガ・アニメ・Kindleとマルチメディア展開しています。アニメ版は非常に珍しい現象なのですが、原作をほとんど省略せずに忠実に作られています。すぐ読みたい人はkindle版がおすすめです。(挿絵がないので同人誌風ですが、作者の公式事務所からの刊行です)

この物語ですが、一人はやる気にあふれる天才肌の若者、もう一人は力の抜けたタイプの歴史の研究者になり損ねた提督。ポジティブとネガティブの両方のキャラが主人公なので、力を抜いて生きたい人も暑苦しく生きたい人も感情移入しやすいと思います。

ラインハルトが好きか、ヤンが好きか、これは小説ファンにとってはよく議論になるところです。私自身はヤン提督の「楽をして勝つ」という路線のほうが性格的に近いと思っているので親近感を持っています。小説中でも語られていますが、楽をして勝つ路線のほうが「兵士は楽ですが司令官は苦労ですね」なので、実際やるのは大変なこともありますが。(実行は楽だけど計画は大変なのが、楽をして勝つ路線なので)

歴史小説や大河ドラマ的な小説の一番いいところは、「非常に様々なタイプなキャラクター」が登場するところです。このため、アニメ版は当時の日本の男性声優を総動員したのではないかというレベルのものになっています。

なので、娯楽としては誰が読んでも楽しみやすいという所があります。また同時に人間心理をお勉強するための絶好の教科書でもあります。多様なキャラクターが登場するということは、「多様なルールで動く人間たち」が登場するということです。

人間理解という視点でみると、「相手がどういうルールで動く人なのか」を理解するというのは非常に重要なテーマですが、ここの意識を高めるためには歴史小説は非常に丁度良い娯楽兼教材になると思っています。

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サイトの運営方針は「自分とは何か」「日本文明とは何か」という二つの問いへのインスピレーションを刺激する話をすること。人生で大切にしたい事は「遊び・美しさ・使命・勝利・自由」。 なお、日本的精神文化のコアの一つは「最小の力で最大の成果」だと思う。例えば「枯山水(禅寺の石庭)の抽象的アート表現」などは、良い例。