日本人はなぜ狐を信仰するのか 【書評 | 感想】

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精神世界研究(西洋占星術・タロット)のほうで著名な松村潔の狐研究です。タロットの話や生命の樹の話なども出てきます。正確には、タイトルを「西洋オカルティズムの視点から切る、日本の狐信仰」にしたほうがいいかもしれません。

お稲荷さん=狐は間違い?

実はみんな勘違いしているのですが、「お稲荷さんのご祭神」と「狐」は厳密には別の存在です。

神さま=稲荷神(ウカノミタマだったりダキニだったりトヨウケだったり、神名はいろいろ)
狐さん=神さまのお使い (時に乗り物だったりも)

という構造になっています。昔はどこの豪族の氏神だったかという話をするなら、伏見稲荷をたてた秦氏の氏神です。

秦氏(はたし)について

渡来人の有力氏族。秦の始皇帝の子孫と公称していました。渡来人もしくは帰化人は要するに古代での移民のことですが、一部には秦氏のキリスト教説やユダヤ人説まであります。平城宮にはペルシャ人の役人がいたという史実もありますので、ユダヤ説とかペルシャ説も可能性としては否定できません。

タロットや生命の樹と神社

西洋のオカルティズムや神秘思想を使って分析していく部分もあるので、そういうものに触れたことがある人にとっては、非情に面白い本になるでしょう。

「タロットカードの戦車の天蓋は、大地母に守られた鳥居と同じ意味があり」(P199)とか「ユダヤ伝承と古代道教の類似性」とか、そういうのが好きな人にとってはとても面白い、知らない人にとっては暗号的な話が続いていきます。

見立ての心で遊ぼう

たとえば、鳥居を産道に見立てたり、お宮を子宮に見立てたり、天蓋を母の保護に見立てたり、というのはやっていくと意外とオモシロイ作業です。

こうした見立てで遊ぶ感性というのは、「枯山水」や「盆栽」といった伝統を持つ日本人にとっては「やってみると、意外にオモシロイ」ものになる可能性があります。

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たとえば枯山水庭園で、岩や砂だけで広大な風景を表現するというのは、「砂を海に見立てる」といったことで成り立っている作業です。

こういう見立ての心を自由に扱えるようになると、日常的な毎日を楽しむ力が増します。

なぜ稲荷神社は全国区なのか?

ところで、稲荷神社は八幡神社や伊勢神宮系と並んで、全国どこにでもある神社です。

なぜここまで広まったのかというと、本書の分析だと「好き勝手に各自が、稲荷の狐を霊的パワーのブースター的に祭るものだった」といった趣旨になっています。

信仰のカスタマイズ自由度が高かったからこそ、みんなが祭った、という話です。ブログサービスでいうなら、ワードプレスみたいなものですね。

この分析が正しいとすると、お稲荷さん信仰は、御師(エバンジェリスト)の活動の影響で全国区の参拝者を集めるようになったお伊勢さん信仰とは、また少し別タイプの信仰の広まり方だったということになります。

稲荷神社を舞台にしたアニメなど

こちらのアニメもおすすめです。伏見稲荷を映像にしたアニメーションのオープニングが非常に美しいです。

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モチーフとして神秘的な生き物としての狐が出てくるというだけだと、古くは安倍晴明の物語(お母さんが狐という話)からはじまって、すごくたくさんの作品がありますが、最近のマンガだと妖狐×僕SS(いぬぼくシークレットサービス)などもおもしろいようです。

 

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About Author

サイトの運営方針は「自分とは何か」「日本文明とは何か」という二つの問いへのインスピレーションを刺激する話をすること。人生で大切にしたい事は「遊び・美しさ・使命・勝利・自由」。 なお、日本的精神文化のコアの一つは「最小の力で最大の成果」だと思う。例えば「枯山水(禅寺の石庭)の抽象的アート表現」などは、良い例。