リベラル・保守・リバタニアン・・・、保守の逆とされるリベラルの意味って?

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言語のもともとの意味からすると、「保守=現状維持派」で「革新=現状変更派」です。フランス革命の時にさかのぼると、「もっとガンガン改革しようぜ=左翼」「ゆっくりと改革していかないと=右翼」です。なのですが、政治用語はわりと適当だと思っておいたほうが安全かもしれません。

大きな政府か小さな政府か

まず、政治の基本的な論点で「政府が社会に対してたくさんの役割を果たすべきか(大きな政府)か、必要最低限の役割を果たすべきか(小さな政府)」という議論が昔からあります。

大きな政府の極端な例

大きな政府の極端な例が旧ソ連などの20世紀後半の社会主義国です。「全ての企業が国有化され、あらゆるものが国有財産に」という方式になっていました。ただ、これは歴史が証明しているように「全てを中央の官僚が統制する」という作戦は失敗しました。

国内全土が廃墟に近くなった時の復興という場合、お役所が全て統制するという方式は悪くない成果を上げています。第二次大戦の敗戦直後の日本はいい例です。ただ、ずっと統制経済でというのはだいたい失敗するようです。

小さな政府の極端な例

一方で小さな政府の極端な例は、平安時代後半の日本の朝廷などがよいでしょう。当時は「国家の正規軍・警察がほとんど廃止」という状態でした。なので、貴族・寺社から庶民にいたるまで「自分達で武装して、自衛していた」という状況がありました。

僧兵という中世の寺の武装組織の話になると、なんで寺が武装してるんだと疑問を抱く人は少なくないのですが、「現代と違って警察とかほぼなかったから」というのが正解になります。

近代以前の社会は、中央政府が「警察による治安維持という公共サービス」を現代に比べるとかなりゆるくしか提供していない状態でしたので、「小さな政府」の極端な例として丁度いいと思います。なにかあっても警察も裁判所も基本的に何もしてくれませんよ、というのが小さな政府の極端な例です。

高福祉・高負担と低福祉・低負担

20世紀後半の話でいうなら、「税金は高いが、福祉が充実(高負担、高福祉)」の北欧諸国が大きな政府の例に、「税金は安いが、福祉などは自前(低負担、低福祉)」という米国が小さな政府の例によくあげられます。

日本に関しては「高負担・低福祉の国」と自嘲する声があります。社会保険料が高い、生活コストが高い、などがその理由の一つです。

リベラルは小さな政府?大きな政府?

リベラルですが、「LIBERAL」は「LIBERTY(自由)」に通じる単語で「自由」というのがもともとの意味になります。なので、言葉本来の意味でいえば「権力の干渉を受けない個人の自由の尊重」といった考えになるはずです。

つまり、大きな政府か小さな政府かでいうと、小さな政府がよいとするのがリベラルになるはずなのです。

ただ、アメリカ英語(米語)では「リベラル」は左翼的な発想、また「社会に対する政府の役割を大きくしたほうがよい」という「大きな政府」の発想で使われるようになっています。現代日本でも「リベラル=左派」という使われ方になっていることが多いようです。

一方で、もともとの自由主義的な発想、「個人の自由な経済活動が大事。政府はなるべく余計なことしないでくれ」というほうの昔ながらの自由主義は、米語ではリバタニズムなど、少し別の言い方で呼ばれるようになっています。

日本のリベラル=左翼勢力

日本のカタカナ語でリベラルという場合、左翼思想とか社会主義的な思想であるという解釈をすると当たることが多いと思われます。

ちなみに、自由民主党の英語名はリベラル・デモクラティック・パーティー(Liberal Democratic Party of Japan)ですが、このリベラルはもちろん左派ではなく、言葉本来の昔からの「自由主義」のほうに寄っていると解釈してよいと思います。

現状維持派か?改革派か?

次に、保守と革新という発想からすると、本来は「保守=現状維持派」で「革新=現状改革派」です。保守はゆるやかな改革を、革新は急進的な改革をするものです。
ゆっくりと変化をすすめたいのが保守で、急な変化をすすめたのが革新です。

日本の保守と革新の逆転

ただし、1945年以降の日本の政治用語として見る場合、ここで意味の転換が起きています。

基本的な方向性として

「1945年の敗戦後に占領軍によって作られた国家体制を壊していきしたい=保守(自民党など)」「1945年以降の占領軍によって作られた国家体制を維持していきたい=革新(旧社会党など)」

という風になっています

まとめ

基本的には、アメリカ英語(米語)の用例にならって「リベラル=左翼・革新」で 「右翼・保守」とは逆の立場の人達をさす、と解読しておけばよいでしょう。

ただ、この種の政治経済用語はかなりファジーなものだと思っておいたほうがよいと思います。

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サイトの運営方針は「自分とは何か」「日本文明とは何か」という二つの問いへのインスピレーションを刺激する話をすること。人生で大切にしたい事は「遊び・美しさ・使命・勝利・自由」。 なお、日本的精神文化のコアの一つは「最小の力で最大の成果」だと思う。例えば「枯山水(禅寺の石庭)の抽象的アート表現」などは、良い例。