成功している人は、なぜ神社に行くのか? 【書評 | 評論】

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自分のパワースポットが見つけられるようになる、そのための考え方やテクニックを、宗教やスピリチュアルは意味不明だ、という人にも読めるように丁寧に解説してある本です。奥さまがパワースポットにはまってるけど、自分的には謎な世界だ、という男性諸氏にも役に立つかもしれません。

パワースポット解説は世の中にいろいろありますが、「東京大神宮は恋愛にいいよ!」のレベルまでしか書いていないものが少なくありません。「なんで、あそこは恋愛にいいの?」という理論的な掘り下げがない。でも、もう少し深く深く、そういう世界の考え方を知ると、 「なるほど、そういうシステムなのか」と面白い発見があるものです。

この本のキーワードのひとつは、「集合意識」という発想です。

集合意識というのはグループ単位での人間の意識です。

たとえばマックファンは、アップルデザインは美しい、そしてそれを使っている自分達は美しい、的な意識を無意識に共有しています。

横浜市民の多くは、「横浜=いいところ」という意識を無意識に共有しています。(共有していない場合は、引っ越しという行動に出る可能性が高くなります。)

日本人の多くは、「日本は素晴らしい国だ」という意識を無意識に共有しています。(逆の意識が強い人は、海外移住などの行動に移る可能性が高くなります。)

こういうのが集合意識の例です。アイドルのファンが同じファン同士で連帯感を感じる心理と似たようなものです。

で、なぜ東京大神宮は恋愛にいいのか、という話に応用すると、「幸せな恋愛をしている人の集合意識」につながりやすくなるから、という説明になるわけです。金運神社がなぜ金運にいいのかといったら「財運が強い人がたくさんお参りに来るから」というような発想になります。

なので、ほしいご利益がある場合、それをすでにかなえている人達とが行きそうな神社に行く、という発想になります。たとえば、政治に興味があるなら、政治家がよくいく日枝神社(東京赤坂、官邸のほぼ隣)に行こう、的な発想になるわけです。

「うまくいってる人の集合意識にアクセスすることが成功への近道です。神社への参拝はそれを可能にします。」(本書P151より引用)

この発想を持つと、「マイパワースポット」を自分で見つけられるようになります。

現代の日本人は、良くも悪くも広い意味での宗教的な発想を知らないまま大人になってしまっている部分があります。

たとえば、「政治・宗教の話は、ビジネス的な場ではNG」という習慣があります。商談の前ふりの雑談で、真剣なぶつかりあいになる議論になっても意味がないので、それはそうでしょう。

ただ、そもそも政治宗教の話をする場が非常に少なくなっているのが現代日本の問題点の一つです。そうなると、当然、政治や宗教に関する知恵が退化していくことになるからです。

そのままだとどうなるかというと、「医療で治らない病気になった」「倒産の危機だ」みたいな、神頼みしかない状況になってはじめて神頼みをすることになります。

世の中に変な宗教にはまる不幸そうに見える人たちがいるのは、ヤバイ状況になってはじめて広い意味で宗教的な世界を学ぶからです。神様との付き合い方的なお話は、ある程度は元気な時に学んでおいたほうがいいです。宗教書や思想書を人生のどん底の時に読むと「それが全てだ」と盲信して変な方向に行くリスクがありますので。

ちなみに、その人にとって適切な思想宗教にはまれば、変人に見られることはあっても、不幸な人には見えることはありません。経営者で信仰心がある人は少なくありません。パナソニックの創業者の松下幸之助などはいい例でしょう。

 

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サイトの運営方針は「自分とは何か」「日本文明とは何か」という二つの問いへのインスピレーションを刺激する話をすること。人生で大切にしたい事は「遊び・美しさ・使命・勝利・自由」。 なお、日本的精神文化のコアの一つは「最小の力で最大の成果」だと思う。例えば「枯山水(禅寺の石庭)の抽象的アート表現」などは、良い例。

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