国家が破たんするとお金の価値は紙クズのように下がる | 歴史に学ぶ

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国家財政というのは、理論的には絶対に破たんしません。なぜなら、理論的には無限に徴税を行って収入を増やせるからです。ただし、実際的には無限に徴税できませんので、国の借金が膨らみすぎると、後になって国民に膨大な負荷がかかる、というケースがあります。

1945年から1949年頃の日本で起きたこと

ハイパーインフレ

1945年、第二次大戦に敗戦した日本では、「日本円」の価値は暴落してインフレになりました。戦前戦後での物価の価値の差は200倍にも達しました。

「1934-36 年卸売物価を 1 とすると 49 年までに約 220 倍、45 年の水準からみても約 70 倍というハイパー・インフレとなった。」(戦後ハイパー・インフレと中央銀行伊藤正直、Discussion Paper No. 2002-J-35、p.1、日本銀行金融研究所、2002年11月)

インフレになるというのは、「マンガ1冊=1円」だったのが「マンガ1冊=200円」になるような話です。これは、お金を貸している人にとってはショックな出来事で、「200万円を貸していたのに、1万円(1/200)になって戻ってきた」的なことが起こります。貯金をしている人にとってもショックな出来事で、「200万円」を貯金していても、お金の価値が下がると「実質的に貯金1万円」になってしまうという話でもあります。

戦前に国債を買っていた人は国債の価値は一気に下がってしまいました。

預金封鎖

さらに、インフレでの混乱のなか、「預金封鎖」が行われました。お金の価値がどんどん下がってくると、人々は「貯金を引き出して、ほかのものに変えよう」とします。その行動を停止させてしまうことで、実質的に「銀行預金の没収に等しいこと」が行われたわけです。

財産税

敗戦でお金がない政府は財産税という特別課税も行いました。最高税率は90%。富裕層から一般庶民までドーンと課税されました。当時の上流階級だった旧華族層はこの時にお屋敷などの不動産を一気に失ったケースが多いようです。

この財産税を、現代のサラリーマンで例えると、3000万円の自宅を持っている人は2700万円の税金を払えというような話です。30年の住宅ローンで3000万円の家を買ったからと言って、2700万円の税金を払う余裕があるかといったら、たいていの場合はないわけです。なので、大きな土地を持っていた人達は軒並み大ダメージを受けました。

債務不履行

先の大戦中に政府が支払いを保証していた戦時債務には同額の税金を課す「戦時補償特別税」が設定されて実質的に債務不履行となりました。こちらは「国が払うといったものは払う」というタテマエすら完全に無視されたケースになります。

まとめ

要するに国全体の借金が膨大になれば、どこかのタイミングで「国民の財産を没収する」しかなくなるわけです。それが、臨時税などのカタチをとるか、ゆるやかに増税されていくのか、インフレを起こして「債務の価値をなくす」形式をとるのか、文字通り踏み倒すのか、カタチの違いはあれど、膨大な債務の負担は国民にストレートにふってくるということです。

日本が前回デフォルト(国の借金を実質的になかったことに)したのは、敗戦で全国焼け野原といった非常時の話ではあります。なので、国の借金の規模が当時と同じレベルに達したからといって、ただちに同じことが起きるとは限りません。

ただ、現代の話として考えても「日本国が破産する?絶対にありえない」と断言するのは、歴史的に見れば少し怖いです。日本史を見れば、20世紀には「国家破産に近い出来事」は実際にあったのです。現代日本がただちに破産の危機にあるとまでは言いませんが、将来的に同じ事が絶対に起きないと断言することはできません。

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サイトの運営方針は「自分とは何か」「日本文明とは何か」という二つの問いへのインスピレーションを刺激する話をすること。人生で大切にしたい事は「遊び・美しさ・使命・勝利・自由」。 なお、日本的精神文化のコアの一つは「最小の力で最大の成果」だと思う。例えば「枯山水(禅寺の石庭)の抽象的アート表現」などは、良い例。