聖杯の血統 ローレンス・ガードナー【書評 | 感想】

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聖杯伝説は人気のある伝説のひとつです。この本は、アーサー王と円卓の騎士やケルトの伝説のほうではなく、イエス・キリストの隠された血脈の話が展開します。「信じるか信じないかはあなた次第」な話ではありますが、ワクワクする伝説を大胆に扱っている本です。

聖杯伝説の色々

私達の持つ、欧州の伝説としての聖杯のイメージは、いくつかのものが組み合わさっています。

キリストの処刑時に血を受けた盃
聖職者が使う盃
アーサー王伝説などの盃

この本では「イエスの子孫の血脈」という王家の血脈としての聖杯が語られます。

王家の血脈(サン グラール)

この本では、サン・グラアル(San Gral 聖杯)は、Sang Real (王家の血)であり、キリストの家系の血脈であるという話が展開されます。その血筋は巡り巡って欧州の王家の中に今も受け継がれていると著者は説きます。言うなれば、インディージョーンズみたいな世界が展開されていきます。

そして、キリストの血縁が生きているとなると都合が悪くなるはずのローマ教会はこんな説は絶対に認めないだろう、といった構図も示されていきます。

マグダラのマリアとイエス

レンヌ=ル=シャトーの謎 – イエスの血脈と聖杯、でも有名になった話ですが、 「イエスとマグダラのマリアは結婚していて、子孫がいた」説は、「どこまで本当か」は謎ですが、面白い説だと思います。ローマ教会的には、「イエスの後継者としてのペテロの後継者である教皇の権威」が分散してしまいますので、もし真実だったとしても承認することはないでしょうが。

フィクションの世界の聖杯

余談ですが、聖杯は、fate(アニメ・ゲーム)では、万能の願望器、あらゆる願いを叶えるアイテムとして登場するなど、フィクションの世界でも人気のアイテムです。

映画「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」などでも、聖杯が登場します。オカルトにも熱心だったナチスドイツが聖杯を探して連合国側と争っていたという話もあります。

サングリアとホーリーグレイル(サン・グラール)

スペインのワインベースのお酒であるサングリア(sangria)は、語源的には「sangre(出血)」なので似たような雰囲気の単語になります。

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About Author

サイトの運営方針は「自分とは何か」「日本文明とは何か」という二つの問いへのインスピレーションを刺激する話をすること。人生で大切にしたい事は「遊び・美しさ・使命・勝利・自由」。 なお、日本的精神文化のコアの一つは「最小の力で最大の成果」だと思う。例えば「枯山水(禅寺の石庭)の抽象的アート表現」などは、良い例。

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