漫画・アニメ「炎炎ノ消防隊」のセリフでよく出てくる「ラートム」ってなんだろうということで調べてみました。「アーメン」と訳すよりは「神の恵みを」的に訳したほうがスッキリしそうというのが結論です。
劇中での「ラートム」の使われ方は
・祈りの文句の末尾に。(キリスト教のアーメン(かくあれし)と似た使われ方)
・挨拶的に
・掛け声的に
・会話の幕引きとして
などです。アーメン的なシーン以外でもわりと登場します。
鎮魂の祈り
作中で一番印象的な「ラートム」は鎮魂の祈りです。
”炎ハ魂ノ息吹、黒煙ハ魂ノ解放、灰ハ灰トシテ、其ノ魂ヨ、炎炎ノ炎ニ帰セ、ラートム”
これは、キリスト教のお祈りの「アーメン」と同じような位置で使われてます。
祈祷文のキリスト教との類似について
この炎炎の祈祷文の意味も気になるので分析してみました。
「灰ハ灰トシテ」という文言がありますが、「灰は灰に」という言葉が現実世界の英国教会の祈祷文にあります。キリスト教に縁がなくてもヨーロッパを舞台にした映画などで見たことがある人もいるかもしれません。これは「人は塵から作られ、神に息吹を吹き込まれて動くようになった」的な聖書の創世記の伝承が下敷きになっていると思います。
「灰は灰に」の祈祷文(お葬式で使われるもの)→”’we therefore commit this body to the ground, earth to earth, ashes to ashes, dust to dust”
炎炎の祈祷文が「灰ハ灰トシテ」となっているのは、キリスト教の「灰は灰に、塵は塵に」の祈祷文を下敷きにしている可能性があります。
一般読者の完全な独自解釈での意訳ですが、【炎ハ魂ノ息吹、黒煙ハ魂ノ解放、灰ハ灰トシテ、其ノ魂ヨ、炎炎ノ炎ニ帰セ、ラートム】は、「肉体はちりや灰から生まれたものなので灰へと還るが、魂たる炎は生まれきた源である炎炎の炎(神)の元へと帰れ(天へと帰り永遠の安らぎを)」みたいな感じになるのではないかと思います。
人は「魂と肉体」でできているという世界観のもとで解釈するとして
炎=魂 黒煙=肉体の滅びすなわち魂の解放 灰は灰に=灰から作られた肉体は灰に還る 炎炎の炎に帰せ=魂よ神の世界へ帰天せよ(あるいは極楽浄土へ生まれかわれ?根源へ帰れ?)
という感じです。
ラートムは何語?オリジナル言語?
おそらく炎炎のオリジナル言語だと思います。
latumとローマ字変換してラテン語として読むと「広がり」みたいな意味になるようですが、あまり意味的にはまらない気がします。ネット上で調べた中で興味深かった説は「トムラウ(弔う)」の語順を並べ替えた造語という説です。
ラートムの使い方
「鎮魂の祈祷文のしめ」のような「祈りの言葉」的な文脈が多いです。ただ、作中では挨拶的な使われ方もしていますし、「いいものを見せて頂きました」みたいな雰囲気でも使われています。
炎炎の世界での「ラートム」は、日本語や英語でいう「おかげさまで」とか「Oh My God!」とか「God bless You」とか、語源は宗教的だけど日常会話的にも使われる言葉に近くなってる部分もあると思います。
現代日本語の「おかけさまで」って日常語の感謝の言葉になっていますが、もともと「おかげ」は「仏様のお陰」「神さまのお陰」みたいな神聖な存在の守護を意味する言葉です。
炎炎の「ラートム」は、「太陽神の恵みのあらんことを」的な「祝福や感謝」の言葉として解釈して使うほうがはまるのではないかと思います。
なお、ラートムには、印のような手の動きが伴っていますが、こちらは仏教や武術の印みたいな形になっています。
(印などについては、古武術の本(甲野義紀)などに実際的な話がのってるので検証してみるのもおすすめ。虎ひしぎとか、リアルにやってみると驚きがあると思います。)
おまけ
炎々の世界の聖陽教会はあらゆる宗教や文化が大災害で一度滅びた後に、様々な宗教を統合して生まれたというような設定になっていたと記憶してます。そのせいか、カトリック教会的な世界観が多い中に、しれっと日本仏教的な部分も入っているようです。白装束の人達も、十字軍みたいな衣装に日本刀をもってるキャラも出ていましたし。
東京皇国自体、大正時代の日本風な部分と、江戸時代風な部分と、スチームパンク的な部分と、NYの路地裏みたいな部分と、様々な世界観がうまい具合に混ざっているのでとてもおもしろい世界観になっていると思います。