現代人の若い女性の内股の謎について

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日本人女性の内股の理由、よく「着物文化の影響説」が語られます。確かに「花魁(おいらん)みたいにしてみたい」という時代劇ファンな感性をもった女子がいないとはいいません。ただ、ほとんどの場合は江戸文化の影響がポイントではないと思います。

江戸の着物文化の影響で「女性は内股が美しい」という感覚が定着したという説があります。ただ身体文化というのは、着ているファッションによって強い影響を受けるモノです。

となると、親世代も子世代も着物は普段着じゃないし、ゲタや草履を日常的にはいてないし、裾をひいた着物もきてないし、食生活も欧米化し、と江戸時代の前提がことごとく消えている現代に江戸の身体文化が残る余地はあまりありません。

それこそ、武道とか仕舞とか、昔から続いている伝統的なものにふれる機会を作らなければ、江戸の身体文化の影響を受ける可能性は少なくなる一方のはずです。

また、江戸時代からある舞踊に「歌舞伎の女形舞踊」があります。よく日本舞踊と言われるものです。確かに日本舞踊では、男の踊りは外股を使い、若い娘の踊りは内股を使っています。ただ、実際に高名な歌舞伎俳優の女形舞踊をよく見ると、現代の若い女性の内股とは全然似てない身体の使い方です。

(youtubeにあったので↓ 六代目菊五郎 鏡獅子 小津安二郎監督。1936年。前半が女踊りです。)

現代の若い女性の内股は、「膝を支点にして身体を支えている感じ」がありますが、舞踊の内股を見るとそれはありません。「身体全体を使っている感じ」になります。重たい衣装をつけて意外と激しい踊りをするわけですから、考えて見れば一点に負担をかけるような身体の使い方では動けないでしょう。

(歌舞伎も能楽も、ものによって衣装の重さは20キロを超えるようです。源平合戦の頃の大鎧の重量が25kgくらいなので、鎧を着て踊るようなイメージでいいと思います)

ということで今のところの結論としては、

若い女性の内股に関して言うと、「内転筋の筋力(パワー&使い方)の低下=ひざをつっかえ棒にしている」説が意外に有力な気がしています。そこに「内また=かわいい」文化的なものが、ごく表面的にのっかってると分析するのが正確かもしれません。

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サイトの運営方針は「自分とは何か」「日本文明とは何か」という二つの問いへのインスピレーションを刺激する話をすること。人生で大切にしたい事は「遊び・美しさ・使命・勝利・自由」。 なお、日本的精神文化のコアの一つは「最小の力で最大の成果」だと思う。例えば「枯山水(禅寺の石庭)の抽象的アート表現」などは、良い例。

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